今年10月、菌類図鑑トランプ「菌ジャカⅠ(菌形推ジャックカード)」をかるたの絵札に見立てて制作した読み札「菌ジャかるたⅠ」を発売しました(図1)。今回は、これに寄せられた推しのメッセージ(口コミ)を紹介します。以下、「○○氏:」の段落に続く「⇒」の段落は筆者のつぶやきです。なお、ここに掲載させて頂いた文章は、メールでお送り頂いたものの中から特に印象的なコメントを選ばせて頂き、ご本人に公表の承諾を頂きました。この場をお借りして厚く御礼申し上げます。そして、文末に「菌ジャカⅡ(菌ジャカ第二弾)」の発売予告とオリジナル「菌ジャカレンダー」プレゼントのお知らせがあります。

図1.菌ジャカⅠ(絵札:上の札)とそのかるた読み札(下の札).
KI氏:教育現場における菌ジャカの反響は上々のようですね。教師には説明しづらく、学生には理解しにくい形態が無理なく共有できるからですね。それに加え、今回は、専門用語を使わずにその形態的特徴を誰でも理解できる言葉で、「読み札」が作られています。絵札をお持ちの方は、是非とも読み札が欲しくなるものと思います。多くの学生は菌類に疎いので、菌類学への導入グッズとして有効なアイテムになると思います。
⇒ 実は「分生子」など一般的な菌類用語は読み札に使っています。菌類を扱っていない植物病理学関係者にも、読み札が何を表しているか簡単な解説を公表しました(「菌ジャかるた」の読み札はどんな意味?)。読み札を買わなくても、これを見て菌ジャカ(絵札)の図をある程度理解できるかと思います。
AH氏:研究室メンバーとかるた遊びするのが楽しみです! トウガラシやマラカスなどの単語で属まで絞れるので狙いを定めてヒントを聞けますね。学名は最初学生さんにはとっつきにくいと思いますが楽しく覚えられそうです。また、当方では後期の学生実験のスケッチで、ぜひお手本として配布したいなと思っております。面白い仕掛けをご提供くださりありがとうございました。
⇒ 本ブログの「菌ジャかるた」の読み札はどんな意味?を見てからかるた遊びをすると、菌類初心者でもある程度勝負になると思います。学生さんの菌類スケッチ実習では、色の濃淡はドットの密度で表すのが基本だと思います。菌ジャカでは、色鉛筆で塗ってある図がほとんどなので、それだけまねしないよう注意する必要があります。
TO氏:職場の若い人がAlternariaの「棍棒」を知らず軽くショックを受けました。確かに日常生活で棍棒は使う機会はないし、鬼は金棒だし、そう言われてみれば私もたぶん「はじめ人間ギャートルズ」くらいでしか馴染みがないような気がしています(笑)。職場のAさんはAlternariaを「サナギマン」と呼んでいます。
⇒ 世代が異なると形の例えも変わり興味深いです。前回の「「菌ジャかるた」の読み札はどんな意味?」でこん棒の説明に「原始人が振り回していた」と書きました。「はじめ人間ギャートルズ」はまさにそのものですね。サナギマンの体は縦・横・斜めの隔壁入り。まさにAlternaria! 菌学者にとっては、棍棒形は当たり前の形態用語ですが、学生・院生の皆さんはきっとこのコメントにうなずくでしょう。棍棒形を現代風に言い換えるとすると、基端が膨れている野球のバットとも違い、思い当たりません。
KT氏:本日のゼミのあと、研究室の学生と一緒にやってみました(図2)。読み手の私は、答えを知りながらですので、クスッとするものが多いように思いました。一方、問題を出された学生は、かなり悩みながらやっていたようです。「貼り付いた 根からストロン 胞子のう」とか「大鎌に かかとが付いて 多細胞」などは一度解説(理由)を聞けば、2回目からは迷いなく取れそうですね。一方、「付属糸で 絡まる仲間 一緒くた」は似たようなデザインの札が2枚あって、難しかったようです。1属から1枚のみを選び出してやれば、何とかなるかも、と4年生が言っていました。彼らの創作意欲(具体的には卒論)が刺激されれば良いなと願っています。
⇒ クスっとして頂いて、「してやったり」とほくそ笑んでいます。できるだけ親しみが持てるような読み札作りに苦心したからです。昔、動物かるたで遊んだ時「豚は何でもよく食べる。食べて丸々太ってる」という読み札をかっぷくの良い母親が読むと、毎回兄弟でニヤニヤしたものです。そういう記憶に残る読み札が1枚でもあると幸いです。
「付属糸で 絡まる仲間 一緒くた」はPestalotiopsis属の絵札用の読み札ですが、確かにその属の絵札は同じような分生子の図ばかりです。もう少し識別しやすい絵にすべきだったと反省しています。「1属から1枚のみを選び出してやれば、」というのは、つまり、54枚の絵札を全て異なる属の図にすれば見分けやすいのに、ということかと思います。菌ジャカの1セットは最多で15属が収録されています。第四弾まで作れば54属以上が揃いますから、それら全属から絵柄の異なる札を1枚ずつ選べば、全て異なる属の札セットが組めます。ご要望が多ければ、そのような菌ジャカベストセットを作っても良いと思っています。

図2.植物病原菌を専攻する学生・院生さんによる菌ジャカ(絵札)と読み札の答合わせ.
MM氏:カーブラリアのパンのたとえがわかりやすかったです。害虫担当者いわく形を主に示しているので、初心者でもいけるとのことでした。私たちのような公設機関の人間としてはこの菌は何の病気?ということが気になります。病気の例題とつながっていると面白いと思いました。現場向きに病気が読み札で取り札が菌っていうのがあると嬉しいので、第2弾を期待しています。
⇒ 「病気が読み札で取り札が菌」、とても有益なコメントですね。これ作りたいところですが、これだけ新たに作ると倍以上の値段になってしまいます。そこで、主な病名を読み札に加筆してヒントにするという提案を取説(遊び方)に載せました。菌ジャカの各札情報一覧表から主な病名を読み札にメモし、病名だけで絵札を取るのも面白いですね(菌ジャカⅠ(第一弾)各札情報一覧表)。菌ジャカⅡ(第二弾)のかるたには第一弾同様の川柳と主な病名を一緒に刷り込むと、どちらでも遊べる一石二鳥の読み札になります。
KT氏:1票を入れるとしたら、「いつの間に 有性生殖 黒い玉」でしょうか。しばらく観ないでいたら、黒いブツブツが・・・というのはよくありますね。さて、金~日曜日に本学の学祭があり、土曜日にMSさん(写真右:現在、市内の病院に勤務)と同期のMMさん(写真左:現在、A県病害虫防除所に勤務)が研究室に遊びに来ました。「とよぞう先生、さすがだなあ・・・」と感心しながら、カードを見ていましたよ(図3)。
⇒ さすが子のう殻ハンターのKT氏。ありがとうございます。新潟食農大時代の同僚が川柳好きで、自分の授業で学生に毎回オリジナル川柳を宿題として提出させていました。学期が終わりに近づくと、全教員に投票させて、上位得票者に賞品を贈呈していました。中には笑いを誘う秀作もあり、コロナ禍のオンライン授業を少しでもなごませる工夫の一つでした。菌ジャカも「読み札総選挙」をやって、最多得票札に投票した人には菌ジャカ原画プレゼントなんていいかもしれません。
研究室のOGにも菌ジャカが評価され、素直にうれしいです。それというのもKT氏の教育が浸透しているからでしょう。

図3.菌ジャカⅠと菌ジャかるたⅠを見てほほ笑むH大学卒業生.
NO氏:菌ジャカ、QRコードでの各札情報一覧、かるた読み札、読み札の解説・・・どんどん展開されていきますね。あらためて、菌ジャカを作られた絵心が素晴らしいと思います。絵心といえば、スケッチに添えられた豊三先生のサインもすてきです。そういえば、学名の命名者表記を、「Toy」(おもちゃ)とされているのも、以前から洒落ていると思っておりました。
菌ジャカ本体を手にしたときにも思いましたが、この読み札を見ましても、聞いたことはあっても見たことがないものがたくさんあります。やはり、今の任期を終えたらなんとしても病害分野に復帰したい気持ちを新たにしました。
⇒ 次々に関連製品や関連情報を世に出したのは、ユーザーのご希望に応え、また、説明不足を補うために後追いでいろいろ付け加えることになったのが実情です。しかし、これで大体一揃い出尽くしたところです。なお、絵札・読み札・説明カードをバインダーに収納し図鑑形式にして図書館などに置こうと對馬理事長と話しています。
病害担当のお仕事に復帰されたら、ぜひ菌ジャカを利用して後進を育ててください。
絵をおほめ頂いて面はゆいところですが、学名の命名者表記は自分で決められるものではなく、菌類学名の世界的データベースIndex Fungorumでいつの間にかToy. Satoになっていたのです。なぜT. Satoではないのか、自分で調べてみたことがあります。同データベースにはSearch Authors of Fungal Namesという命名者名のデータベースがあり、「Sato」をキーワードにして検索すると17名がヒットし、そのうちTで始まる名を持つ Satoは、Taeko Sato、Tatuzo SatoとToyozo Satoの3名です。各人の詳細情報を見るとTaeko SatoはT. Satoと略記され、Tatuzo Satoはそのまま表記されています。次に、T. Sato(Taeko Sato)の命名した学名を見るとCeraceopsora elaeagni Kakish., T. Sato & S. Sato 1984となっており、えっ!と思わず声が出てしまいました。このサビキンは故佐藤昭二先生、柿嶌眞先生とともに私も共著で報告した新属・新種だったからです(Kakishima, et al., 1984)。明らかにこの学名の命名者T. Satoは誤りです。そうするとTaeko Satoさんは一体誰なのでしょうか? いまだに謎です。でも、Index Fungorumの管理者にはクレームをつけていません。このコメントの主が指摘されたように、「砂糖(Sato)のおもちゃ(Toy.)」の方が気に入っているからです。
以上、菌ジャかるたの口コミ集でした。ところで、かるたというと若い世代には古風な遊びという印象があるかと思います。それに、読み札が川柳調ときてはなおさらでしょう。しかし、競技かるたがテーマのコミックやテレビドラマ・映画「ちはやふる」は記憶に新しく、知育玩具としてもかるたは親しまれています。なんと言っても、古来より音読は記憶術の基本です。口に出した言葉は耳から入って脳に染み付きます。その意味でも菌ジャかるたは菌の特徴を覚えるツールとして優れていると言えます。属名コールバトルとともにご愛用ください。
さて、お待ちかねの菌ジャカⅡは12月1日に発売の予定です(図4)。今回は以下の15属を収録しました。A. Erysiphe(エリシフェ;うどんこ病菌)、2. Bipolaris(ビポラリス)、3. Botrytis(ボトリティス;灰色かび病菌)、4. Ceratocystis(セラトシスティス)、5. Agroathelia(アグロアセリア [Sclerotium];白絹病菌)、6. Verticillium(バーティシリウム)、7. Stemphylium(ステンフィリウム)、8. Corynespora(コリネスポラ)、9. Entomosporium(エントモスポリウム [Diplocarpon])、10. Phyllosticta(フィロスティクタ)、J. Pythium(ピシウム)、Q. Pyricularia(ピリキュラリア)、K. Septoria(セプトリア)、Joker 1. Phragmidium(フラグミディウム;さび病菌の1属)、Joker 2. Choanephora(コアネフォーラ;こうがいケカビ)。このうちJoker 1. Phragmidiumは菌ジャカⅠのJoker 1でも夏胞子の走査電顕(SEM)像を用いましたが、Ⅱでは手書きの冬胞子を採用しました。というわけで、菌ジャカⅠとⅡを合わせて29属をカードにしたことになります。

図4.菌ジャカⅡの見本.
お陰様で、菌ジャカⅠはこれまで500個以上を個人の方々にご購入頂きました。心よりお礼申し上げます。感謝の意を込めて2026年のオリジナルカレンダー「PDF菌ジャカレンダー」(図5)を制作し、これから菌ジャカをお買い上げ頂く方々に進呈することにいたしました(購入者特典ですので、PDFを拡散しないようにお願いいたします)。2026年3月末までに、菌ジャカⅠ・Ⅱ、あるいは菌ジャかるたⅠ(読み札)どれでも1個以上ご購入頂いた方にお送りします。

図5.2026年版菌ジャカレンダー(一部).